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東京高等裁判所 平成12年(ラ)757号 決定 2000年6月05日

《住所略》

抗告人(本案事件原告)

風見義雄

右代理人弁護士

古屋紘昭

太平弘忠

古屋亀鶴

《住所略》

相手方(本案事件被告)

槇田家和

《中略》

右13名代理人弁護士

行方國雄

岡田英之

小林卓泰

渡辺伸行

主文

一  本件抗告を棄却する。

二  抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

第一  当事者の申立て

一  抗告人の抗告の趣旨

1  原決定を取り消す。

2  相手方らの担保提供命令の申立てを却下する。

二  相手方らの本件担保提供命令申立ての趣旨

抗告人は、相手方らのために、東京地方裁判所平成11年(ワ)第9540号損害賠償請求事件の訴えの提起について、相当の担保を提供せよ。

第二  本件事案の概要

本件事案の概要、本件本案事件における抗告人(本案事件原告)の主張内容は、原決定「理由」欄の「第二 事案の概要」の項の記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

一  当裁判所も、前記損害賠償請求事件(本案訴訟)は、抗告人が、株主権を濫用して、申立外株式会社八千代銀行及び同銀行の取締役である相手方ら(ただし、相手方らのなかには、前記のとおり取締役であった者の相続人が含まれている。)を困惑させることのみを目的として提起した訴訟というべきであり、したがって、右本案訴訟の提起については、商法267条6項により準用される商法106条2項の悪意の疎明があることとなるから、原裁判所は、抗告人に対し相当の担保の提供を命ずることができ、その担保の額は、原決定のとおり相手方らに対する共同の担保として3000万円が相当であると判断するものであり、その理由は、原決定がその「理由」欄の「第三 当裁判所の判断」の項において説示するとおりであるから、これを引用する。

二  なお、抗告人は、商法106条2項の規定にいう訴えの提起が悪意に出たものとは、原告である株主が、当該訴訟における権利又は法律関係に関する主張が事実上あるいは法律上の根拠を欠くものであることを知りながらあえて提訴に及ぶなど、訴えの提起が株主代表訴訟の制度の趣旨目的に照らし著しく相当性を欠くと認められるときをいうものと解すべきであり、仮に、本件本案訴訟の提起に至る過程において、抗告人に相手方らを困惑させるような行為があり、それについて抗告人が相手方らに対し何らかの責任を負担すべきこととなるものとしても、この点に関する責任は本件本案訴訟とは別の訴えによって追求されるべきものであり、抗告人に右のような行為があったからといって、本件本案訴訟の提起が右の悪意に出たものとされることにはならない旨主張する。

しかしながら、右の株主代表訴訟における担保提供命令の制度の趣旨は、抗告人の主張するような当該訴訟における主張自体が理由がないことを知りながら訴えを提起するなどのいわゆる不当訴訟を防止することに加えて、本件本案訴訟のように株主権を濫用して不当な利益を得る目的で代表訴訟を利用するなどのいわゆる会社荒し行為を防止することをもその目的とするものと解されるから、抗告人の右主張は理由がないものというべきである。

第四  結論

以上のとおり、本件抗告は理由がないので、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 涌井紀夫 裁判官 小田泰機 裁判官 合田かつ子)

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